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ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」:無限の解放へ

Beethoven: Symphonies 1 & 5Beethoven: Symphonies 1 & 5
(2004/11/22)
Ludwig van Beethoven、

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ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」作品67

僕が初めて「運命」を聴いたのは、確か小学生のときの「名曲アルバム」のビデオか何かで、そのときの印象は、「なかなか終わらない曲だなあ」というものだったと思う。
なかなか終わらないというのは、曲が長いことではなくて、4楽章の途中で盛り上がってきて、いかにも終わりそうなところで、実はまだ終わらない、ということだ。
ファゴットソロ、ホルンソロに入る直前の「ダン!…ダン!…ダン!…ダン!」という場所からなのだが、おわかり頂けるだろうか。
昔から「いかにもクラシック」というこの終わり(コーダ含め)が気になっていたのだが、今になって思うとそれが快感過ぎてたまらない、ある意味病的な自分に気付く。
1808年に初演されてから、この第5番(当時は第6番)は様々な作曲家に多大な影響を与えている。
そして多くの作曲家が交響曲第5番に傑作を残していて、例えばブルックナー、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチなど、それこそ何かの運命を感じるが、その中でも、やはりベートーヴェンの第5番が最高だと僕は思う。

ベートーヴェンの作品の中でも、かなりマッドネスに満ちた作品であるともとれる。
冒頭の「ジャジャジャジャーン」の異常なインパクト、そしてその動機が執拗に繰り返される。
1曲を通して、隙間無く埋められたこの動機の配置は、考え尽くされた理性的な音楽であると同時に、狂わんばかりに、どこまでも情熱的な音楽であることを表しているように思う。
ちなみにこの動機は彼の他の作品にも何度と無く登場し、例えばピアノソナタ「熱情」などを聴けば、「ああ、運命だ」と思う。
また他の作曲家の作品でも、この音形は「運命の動機」などと呼ばれ、作曲家にも我々にも、ある特異な印象を与え続けている、ある意味伝説的な動機なのだ。
さて、溢れる狂気と情熱はもちろん魅力の1つだが、僕が最大の魅力だと思うのは、その昇華と解放に伴う快感である。
特に3楽章から4楽章へ向かうところの美しすぎる解決っぷりにはさすが楽聖といったところ。
何より僕の一番好きな4楽章、この清々しさは尋常でない。
目を閉じれば宇宙が広がる。体が、魂が、無限の広がりを持つ空間に放たれたような。
とことん理性的で、究極の統一感を保つ世界の中にいるのに、この爽快さはなんなんだ。
いつか「終わりそうで終わらない」と思った少年は、今やその終楽章の虜になっている。

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