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シューベルト ピアノ三重奏曲第1番:悲観と楽観の深遠へ

ベートーヴェン:大公トリオ、シューベルト:第1番ベートーヴェン:大公トリオ、シューベルト:第1番
(2007/11/07)
フォイアマン(エマニュエル),ルービンシュタイン(アルトゥール) ハイフェッツ(ヤッシャ)

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シューベルト ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 D.898

シューベルトの音楽はその本質的に内気なものが多いというのはよく知られている。
問題はその内面に向けられたシューベルト自身の目が、どういう意図やニュアンスを持っているのかという点である。
ピアノ三重奏曲は、弦楽五重奏曲や後期ピアノ・ソナタなど、後期の傑作群と同じ時期に作曲された。
この後期の作品群に特徴的なのは、とにかく濃厚・重厚・長大で、そして悲観的な内視があるということだ。
だがこのピアノ三重奏曲は、非常に明るく活き活きとしている。

1楽章、ヴァイオリンとチェロのユニゾンで始まる第一主題とチェロが優しく入って来る第二主題、始まったばかりからその明朗な美しさは花開き、ピアノは8分音符の刻みでそれらの旋律を支える。
2楽章は緩徐楽章。この美しさはシューベルトの音楽の中でも、特にお気に入りのものの1つだ。時々無意識に口ずさんでしまうこともあるほどの、慈愛と哀れさを感じる美しい楽章である。「人間の美しい感情が波のように上下する」とシューマンが絶賛したのはこの楽章のことだ。
3楽章はスケルツォで、ピアノのソロから始まる。快活さが一番現れたこの楽章は、可愛げがありどこか人懐こい主題と、トリオ部での弦楽器によって奏でられる息の長い旋律が魅力的だ。ピアノの高速スケールも上品に華やかさを添えている。
そして4楽章は、歓喜さえ感じるような、スケルツォにさらに生命力が加わったような、終楽章らしい終楽章と言える。リズムも跳ね、各楽器も最も動きが大きくなり、駆け抜けるような
小コーダを迎える。最後の最後まで、活力漲る音楽である。

この後期の重厚な作品が多い時期に、なぜこのような曲が生まれたのだろうか。理由は定かではないが、この音楽から何か読み取るのも面白いかもしれない。
特に、ピアノ・トリオというのは、もちろん伝統的にアンサンブルとしてバランスのとれた形式ではあるが、弦楽五重奏や単一の器楽に比べると、ややアンバランスな響きを持つものだ。
もしかするとシューベルトは、このピアノとヴァイオリン、チェロという組み合わせの中に、何か完全に「内的」ではない音楽性を感じ取ったのかもしれない。
やや特殊なアンサンブルという、それこそやや特殊なコミュニケーションの求められる音楽に、シューベルトの「内気な音楽」はどこまで通用するのだろうか。
僕は何も、編成だけでこの話をしているのではない。例えば交響曲第5番などは、編成も大きいし長調だが、あれは明らかに内向きな音楽だと思う。
この明朗さは、彼の楽観的な内視が現れているのか、それともより深い悲観的な内視の音楽なのか、はたまた「外を向く」シューベルトの存在を表すのか…まだまだ理解するのは不可能のようだ。

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