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珠玉の名曲たち、クラシック音楽を楽しむブログ。クラシック音楽の楽曲をテーマに、短いエッセーを書いています。

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外山雄三、三枝成章、石井眞木、芥川也寸志 交響組曲「東京」:和と混沌

交響組曲「東京」&團伊玖磨:三つのノヴェレッテ交響組曲「東京」&團伊玖磨:三つのノヴェレッテ
(2012/10/03)
外山雄三、 他

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外山雄三、三枝成章、石井眞木、芥川也寸志 交響組曲「東京」

ちょうど2年ほど前、このブログで外山雄三の「京都幻想」という作品を紹介した。京都市交響楽団のために、外山雄三の他に、間宮芳生、三善晃、團伊玖磨、林光、新実徳英、細川俊夫らが作品を寄せたプロジェクトによる作品で、いわばご当地クラシックである。
僕も京都という街にそれなりに思い入れはあるが、せっかく東京に住んでいることだし、東京のご当地作品も紹介したい。
交響組曲「東京」は、FM東京開局15周年記念委嘱作品で、外山雄三、三枝成章、石井真木、芥川也寸志の四氏による、4曲の組曲。それぞれ順番に、東京の春夏秋冬を表現しようという話だったようだが、どうもその辺りは作曲者によって解釈はあやふやで、明確に季節を表しているものもあれば、そうでないものもある。
当時のFM東京代表取締役だった大野勝三氏は、世界の名だたる都市にはその都市の楽曲があるが、東京にはそれがないということの寂しさを感じていたとのこと。そこで、東京出身の、日本を代表する作曲家諸氏に、東京の楽曲を依頼したのだ。
第1曲が外山雄三作曲「こもりうた」、第2曲が三枝成彰作曲「Summer」、第3曲が石井眞木作曲「秋のヴァリアンテ」、第4曲が芥川也寸志作曲「アレグロ・オスティナート」。
もしこの四氏の音楽を聴いたことのある人だったら、それぞれの曲のそれぞれの人らしさに納得するだろう。そして、驚くほどにこの4曲の間に有機的な繋がりがないことに気づくはずだ。
だが、むしろそこが東京の特徴と言えるかもしれない。
東京の人の多くは、純粋に東京生まれの東京育ちという訳ではないだろうし、日本のどこよりも、様々な地方の人、様々な国の人が集まっている都市だろう。東京出身の四氏の個性が、特に融和もなく端然とそこに居るという佇まいは、この都市の様子そのものだ。1985年の作品だが、その点は普遍性を保っているように思われる。

外山作曲の第1曲は、彼が東京の春を思ったときに浮かんだ、水仙や沈丁花などの春めいた香り、山手線の窓から入ってくる新緑香る風、そして、そんな空気の中を過ごした子ども時代のノスタルジーから、「こもりうた」と設定された。
外山音楽ファンの期待を裏切らない、日本の心を感じる歌が、この曲でも高らかに歌われる。
三枝作曲の第2曲は、この組曲の中で最も異質な楽曲。チャイコフスキーとワーグナーに対する挑戦らしい。なるほど、チャイコフスキーの幻想曲とワーグナーの管弦楽法からの影響はすぐにわかる。ホットな音楽ではあるが、「Summer」なのに夏らしさは微妙なところ。さすがガンダムの三枝氏、思わず「エゴだよ!」と言いたくなるが、「この三枝をなめてもらってはこまる」。他の3人とは異なるジャンルも手がけるだけはある。
石井作曲の第3曲「秋のヴァリアンテ」は、僕が秋が好きだからという理由もあるが、これはなかなか深みのある楽曲だ。
西洋音楽史上の「秋」と思しき19世紀後半~20世紀初期の手法を用いた主題と、それを現代風に変容させるという試みは、現代の東京の街の在り方を思わせる。秋の美しさを湛えた主題は、主題そのものとして演奏されず、変奏の中に埋もれ、分断されて登場する。このあたりも、考え抜かれた音楽である。
そして僕も大好きな邦人作曲家芥川の担当した終曲「アレグロ・オスティナート」は、名前の通り、芥川得意のオスティナートが心地良い、和風モダンな音楽。
この曲の元ネタは、「エレクトーンGX-1とオーケストラのためのコンチェルト・オスティナート」の第3楽章であり、この協奏曲は演奏はされるものの録音はないようで、こうして交響組曲「東京」の録音が出ることは僥倖である。
東京の何かを描いているという訳ではなく、滝野川区(現・北区)に生まれ東京音楽学校で学び、さらには先祖は徳川に仕えていたということもあり、生粋の江戸っ子である芥川が、東京への愛をもって作った作品である。
四者四様の音楽が作り出す「東京」は、和の音楽が混沌として存在する、実に興味深い情景だ。

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| 外山雄三 | 23:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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外山雄三 京都幻想:風情と佇まい

現代日本の音楽:京都をイメージとした作品集現代日本の音楽:京都をイメージとした作品集
(2008/12/17)
京都市交響楽団 小泉和裕

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外山雄三 京都幻想

「管弦楽のためのラプソディ」で有名な日本の作曲家、外山雄三の管弦楽曲。
何といっても上述の曲はインパクトが強い。どっこいしょ!って感じの音楽だが、こちらは全くそんな感じではなく、静的な和の趣きが佇む音楽である。
まあ「管弦楽のためのラプソディ」も大好きな曲なので、それについての思いのたけはまた今度熱く語ることにして、今回は知名度こそ劣るが、なかなかの名曲と思われる「京都幻想」を取り上げることにする。
京都市文化事業基金によって委嘱され、京都市交響楽団が演奏する「京都をイメージとした作品」の1つであり、外山雄三の他には、間宮芳生、三善晃、團伊玖磨、林光、新実徳英、細川俊夫といったお歴々が並ぶ。
まあ基本これらはいわゆる現代音楽であって、ちょっと取っ付きにくいというのもあるし、ぶっちゃけ「え、何が京都なの?」っていうのもある。
現代芸術とは難解なものである。僕も美術館でトマトと亀の置物を置かれて「ギリシアの悲劇」と題された作品を見た時はうーんと唸ってしまった。
話が逸れたが、中でもこの外山の「京都幻想」は、京都の民謡を直接モチーフとして使用している作品であるため、ある程度聴きやすい。
他の委嘱作品などを考慮しても、この企画は「in京都」の芸術制作というより「from京都」の芸術発信という構想を感じるが、この作品からはしっかりとした京都のイメージが受け止められるのだ。

使われている民謡は岩滝町の「追分」、美山町の「ねんねしなされ」、そして「一条戻り橋」である。
このうち並々ならぬ重きが置かれているが、「一条戻り橋」だ。
「一条戻り橋、二条の生薬屋、三条酒屋に、四条の芝居~」と続くこの歌はわらべ歌であり、それぞれの名物が歌われている。
ノスタルジックな雰囲気を持ったわらべ歌と、鳴り続ける鐘の音が、この曲全体の雰囲気を作り出しているのだ。
思うに、京の都というだけあって、京都と言えど都とそれ以外では大きく違うものである。
追分や子守歌といった一般的な民謡を、都の伝統的な唄がまとめこみ、ひとつの統一性ある情趣を生みだす。この作風と京のイメージが重なりあっているかのように思われる。
一条戻り橋には数多くの伝説がある。『撰集抄』では、この橋のたもとで父を亡くした修行僧の子が父の葬列に出会い、祈りを捧げると、父が生き返ったという記述がある。
『平家物語』には、この橋で鬼が女に化け、渡辺綱を捉えて愛宕山の方へ飛んでいったという話が収められている。
民謡ひとつでちょっと話を膨らませな気もするが、様々な伝承は「幻想」に相応しいだろう。
京都は僕にとって色々な思い出のあるところで、そういう意味で少し特別な思いを持って聴ける音楽でもある。
情緒や温度、距離感など、すべて独特な風情を持って聴く者と対峙する、この不思議なイメージは、僕の京都のイメージとも相違ない。

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