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珠玉の名曲たち、クラシック音楽を楽しむブログ。クラシック音楽の楽曲をテーマに、短いエッセーを書いています。

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パガニーニ 24のカプリース:ヴィルトゥオーソ考3

パガニーニ:カプリース(全24曲)パガニーニ:カプリース(全24曲)
(2008/11/19)
五嶋みどり

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パガニーニ 24のカプリース 作品1

ヴィルトゥオーソについて何か少しでも理解しようと挑戦しているのだが、そうするとどうしてもパガニーニは外すことのできない作曲家であろう。
超絶技巧を持ち、悪魔に魂を売ったと噂されたほどの天才ヴァイオリニストであったパガニーニは、多くの聴衆を魅了し、同時に多くの作曲家に影響を与えた。
「パガニーニの主題」と言われ、リスト、ブラームス、ラフマニノフらによって変奏曲の主題に用いられたあの有名な旋律は、この24のカプリースの第24番である。
それだけに、この24のカプリースは、パガニーニの全作品中で最も重要な作品の1つに相違ないはずだ。
この作品にインスピレーションを受けた作曲家のうち、やはり「ピアノのヴィルトゥオーソ」、フランツ・リストのことが最初に思い浮かぶ。
彼が「ピアノのパガニーニ」を志したという話もあり、実際パガニーニもリストも、その演奏を聴いた者は皆虜になり、周囲に婦人が群がったという話も共通している。
そう、彼らは自身の演奏能力を、聴衆に対して十二分に発揮するための作品を必要としていたのであり、そのための曲を作ったのである。
「先に演奏ありき」で出来たのが、この24のカプリースを含む、ヴィルトゥオーソ作曲家たちの音楽なのだ。

僕のお気に入りは、もちろん24番はそうだけれど、やはり9番だろうか。
リストの「パガニーニによる大練習曲」でも、シューマンの「6つの練習曲」でも用いられる非常に有名なフレーズがあり、また「フルートを真似て」、「ホルンを真似て」という指示もある。そう言われて聴けば納得出来る曲だし、納得出来る演奏こそ真のヴィルトゥオーソなのだろう。
24番も9番も、もちろん技術的な面もあるのだが、そういう面以上に、どちらも多くの人を引き付ける魅力的な旋律であるということが気にかかる。
パガニーニが披露したかった「演奏」の能力というものには、難しい技術と心を打つメロディーを奏でる、その両方が含まれるようだ。
まったく機械的な高難易度のテクニックというのは、ある種の感動がある。
また、非常に単純な旋律でも、それが素晴らしいものであれば感動するし、愛されるものだ。
パガニーニがこの作品で目指したものはその両方であろう。パガニーニにとって、自身の優れた真の演奏能力というのは、信じられないような高度な技を用いつつも、そんなことは全く知らないような人にとってさえその素晴らしさが伝わるような、そんなものだったのかもしれない。
言うなれば技術的に高度すぎて一回りしたかのような、純粋な美しささえ感じてしまう。あくまで想像だが、新しい技巧を盛り込んでも、バッハの無伴奏と同じくらい魅力的な作品でなければ、彼はその演奏など無意味だと思っていたに違いない。
彼の音楽が愛され続けているのは、かの2つを能力として備えもった真の「ヴィルトゥオーソ演奏家」だったからだ。
24のカプリース自体はもちろんだが、リストやブラームスの超絶技巧的な変奏曲の演奏に感動し、また鼻歌でちょっとフレーズを歌ってもグッと来るような、そんな曲は滅多にないものだ。

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