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珠玉の名曲たち、クラシック音楽を楽しむブログ。クラシック音楽の楽曲をテーマに、短いエッセーを書いています。

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ハチャトゥリアン 組曲「ヴァレンシアの寡婦」:美味しいB級クラシック

Valencian Widow / Danses FantastiquesValencian Widow / Danses Fantastiques
(1993/12/07)
Aram Il\\\'yich Khachaturian、 他

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ハチャトゥリアン 組曲「ヴァレンシアの寡婦」

世の中では各地のB級グルメが名を轟かせているが、やはりクラシック音楽にもB級モノは存在する。
「B級」は、もちろん悪い意味でも用いられるが、最近はむしろポジティブな意味で用いることが多いのではないだろうか。
B級クラシック音楽というのは、作曲家に限って言えば、いわゆるバッハやベートーヴェン、モーツァルトといった超有名どころではない作曲家の音楽のことを指すかもしれないし、曲で言えば、有名作曲家のマイナーな秘曲といったところかもしれない。
ここで僕が、このハチャトゥリアンの組曲「ヴァレンシアの寡婦」に“B級”という形容をしているわけは、そういった使い方ではなく、それこそもっと「B級グルメ」のそれに近い。
つまり安くて、地元色があって、決して気取って食べるのではなく、欲にまかせてガツガツと食らう、そんな感じの音楽は、ハチャトゥリアンの音楽の最高の魅力だと言っても良いだろう。
たとえば、以前紹介したバレエ音楽「ガイーヌ」の中の「剣の舞」や「レズギンカ」などは、アンコールピースとしてもよく演奏されるのだが、海外の一流オケがやるものより、かえってそこらの地方のアマチュアが気合いでドッカンドッカン演奏する方が、泥臭くて素敵だったりするものだ。
それでも「ガイーヌ」は、音楽史に輝く名曲認定されているだけあってB級とは言い難いが、ハチャトゥリアンの少しマイナーな音楽となると、これは途端にB級感にあふれたものとなる。
「ヴァレンシアの寡婦」は劇作家ロペ・デ・ベガが17世紀初頭に書いた戯曲で、ハチャトゥリアンはそのソ連上演のために音楽を作った。
内容はヴァレンシアを舞台にしたドタバタのラブコメディーだそうで、コミカルなシーンあり、情熱的なシーンありと、音楽も彩り豊かである。

演奏会用組曲として編曲された際、劇音楽から6曲が抜粋された。演奏時間は25分ほど。録音は少ないが、チェクナヴォリアン指揮アルメニア・フィルのハチャトゥリアン作品の名演集にはもちろん入っている。絶版なのが惜しい。
第1曲のイントロダクションは、始まりの旋律からスペイン風だ。しかしどことなくソ連の香りがするのが、ここでいうB級感。
第2曲のセレナーデは緩急ある音楽。同じメロディーが後半に勢いを持つ。この勢いこそ、ハチャトゥリアン好きにはたまらない良さである。
もっとも美しいのは、第3曲のソング。クラリネットのソロによる美しい歌は愛の調べと取って間違いないだろう。感情の盛り上がりもあり、ややあか抜けないが、そこがまた絶妙だ。
次に少し外してくるのが第4曲のコミック・ダンス。滑稽な踊りというだけあって、音楽がコロコロ変わり、様々な舞曲が入れ替わり立ち代わり現れる。
第5曲のインテルメッツォは、まるで白鳥の湖の冒頭を思わせる始まりで、濃厚な音楽が展開される。この曲の主題は、ハチャトゥリアンの名曲「スパルタクス」においても転用されている。美しいが、これはスペインというよりはソ連の音楽だ。ソビエトの巨匠らしさがよく楽しめるだろう。
最後は第6曲ダンス、この躍動感はいかにもハチャトゥリアン。2拍子系に挟まる3拍子も、彼らしさのひとつ。何より、最後の最後はさんざん引っ張って、最後に「ジャジャン!」と2発。ここでわざわざ2発入れるあたりがいかにもと言ったところ。
こういう音楽はいい。深遠なる音楽の世界という言葉は似つかわしくないだろう。しかしもっともっと、人間の魂に気軽に近づいてくるような気がする。多くの人間が共通に持つ、精神のどこかに「根付いている」何かと共鳴するようなもの、それがあるからこそ、B級グルメにせよB級クラシックにせよ、ここまで人の心を捉えるのだろう。

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| ハチャトゥリアン | 01:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハチャトゥリアン 交響曲第3番「シンフォニー・ポエム」:全てクライマックス

Symph 6/Khacha:Symph 3Symph 6/Khacha:Symph 3
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Chicago Symphony Orchestra

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ロシア革命30周年記念に作られた曲、などという肩書きは実際どうでもよい。
当時のソ連作曲家たちはだいたい革命記念とか何々記念式典とか、そういった理由で曲を作っている。お国の事情というやつである。
曲の内容は命に関わる。だから、体制を讃えるという名目で曲を作れるのは、作曲家にすれば芸術的な(最も本当の)自己表現のチャンスでもあるのだ。
この交響曲第3番は、そんな意味で、ハチャトゥリアンが好き勝手やってしまっている作品である。

ソロトランぺットが15本。
祝祭的なファンファーレに続き、超絶オルガンソロ。クレイジーだ。
ハチャトゥリアンお得意の憂鬱な民族旋律をこってりと弦楽器が奏で、まるで螺旋状に地の底へ下っていくようなクラリネットの掛け合い。
特にオルガンに被ってくるトランペット群、トムトムのロール、轟音がのしかかるトゥッティの重々しさはもはや閉口する。
聴いてうっとりするような場面はないが、単一楽章の約25分の交響曲、終始その凄まじい勢いにある意味恍惚とするだろう。
まさに最初からクライマックス、最後までクライマックス。

ハチャトゥリアンの白眉はもちろん、劇音楽だと僕は思っている。
だがこれを作っていた彼は最高に気持ち良かったに違いない。

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| ハチャトゥリアン | 15:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハチャトゥリアン バレエ音楽「ガイーヌ」:剣の一人歩き

ハチャトゥリアン:バレエ「ガイーヌ」ハチャトゥリアン:バレエ「ガイーヌ」
(1995/12/16)
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団

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ハチャトゥリアン バレエ音楽「ガイーヌ」

もはや「ガイーヌ」はバレエではなく、管弦楽組曲のイメージが強い。
抜群の知名度は、名曲である由縁である。
「ガイーヌ」の音楽はハチャトゥリアンお得意の激しいリズムと独特な音階、民謡調の美しい歌の対比がよく表れている。
「剣の舞」の印象深いシロフォン、「レズギンカ」の小太鼓と、打楽器の活躍する曲でもある。
個人的には「ゴパーク」の徐々に徐々に興奮が高まり、疾走・熱狂する様子が何とも言い難い快感である。

有名になって一人歩きしている「剣の舞」だが、その歩きついた先の一つである、「音楽ファンタジーゆめ」のアレンジが絶妙だ。
リアルタイムで見ていた幼い頃はアレンジなど気にしていなかったが、それでも剣が舞う映像ははっきりと残っている。
ピアノ編曲も素晴らしい。シフラ、ソーリンのアレンジは技巧的・芸術的にも聴き応え十分。
名曲は、作曲者の手を離れ、一人歩きする。
世界中で、それを愛しリスペクトする音楽家によって、アレンジされる。
ジャンルを問わずアレンジされ、再構成され、それぞれのアーティストの意思がこもった新しい剣の舞が生まれる。
たとえ作曲者の意に反していても、それは起こることだ。
「名曲」とはそういうものかもしれない。

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