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珠玉の名曲たち、クラシック音楽を楽しむブログ。クラシック音楽の楽曲をテーマに、短いエッセーを書いています。

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三善晃 三つの抒情:ほのかな音のかほり

日本合唱曲全集「三つの抒情」三善晃作品集(3)日本合唱曲全集「三つの抒情」三善晃作品集(3)
(2005/10/21)
合唱東京混声合唱団

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三善晃 三つの抒情

クラシックファンの間で三善晃と言ったら大概は「交響三章」の話が出るし、ピアノ好きなら「三善メソッド」で、吹奏楽好きなら「深層の祭」という名曲の話になるが、もう少し広く言ったらやはり三善は合唱の人だ。
中学校のクラス対抗合唱コンクールで歌われる曲程度しか合唱曲に対する知識を持っていなかった僕が初めて三善の合唱作品を聴いたとき、何だか得も言われぬ不思議な気持ちになったものだ。
そうして、合唱曲の深さというものを少しずつ知っていったのだ。
「三つの抒情」は、三善の最初の合唱曲と言える。女声合唱とピアノのための作品だ。
三善自身もそれらしきことを語っているのだが、女声合唱というのは、どこか輪郭のないような雰囲気、音楽の纏っている不必要な殻を脱いだような雰囲気がある。
その雰囲気は、音楽というより、音そのものの世界に近い。
女声合唱のそういった感じが、三善の合唱作品には非常に和をなすものが多いように思うし、むしろ必然であるようにも思うのだ。

「三つの抒情」には、日本を代表する抒情詩人である中原中也と立原道造の詩が用いられている。
第1曲『或風に寄せて』と第3曲『ふるさとの夜に寄す』が立原道造で、第2曲『北の海』は中原中也の詩だ。歌詞はこちらへ
三善の音楽の不思議なところは、彼らの詩の持つ抒情感が、詩を読むという作業よりいっそう自然に、霧のごとく立ち込めてくるところだ。
女声合唱の靄のような響き。詩の「文字」という媒体ではない。我々は視覚という感覚に頼らず、その空気を吸い込むようにその詩を心の内に迎え入れることができる。
ピアノにしても合唱にしても、そこにあるのは「歌」というにはややはばかられる、ほのかに香り立つ空気のような「音」だ。
心を揺り動かすような感動がある「歌」とはまた一味違う、心の奥にじんわりと入り込む「三つの抒情」。
その音の香をじっくりと味わい、ささやかだが心が満ちていく、この感慨に耽る幸福は何にも代えがたい。

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