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珠玉の名曲たち、クラシック音楽を楽しむブログ。クラシック音楽の楽曲をテーマに、短いエッセーを書いています。

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サティ 薔薇十字教団のファンファーレ:抜群のプロポーション

Satie: Complete Piano Works [Box Set]Satie: Complete Piano Works [Box Set]
(2007/12/04)
不明

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サティ 薔薇十字教団のファンファーレ

宗教と音楽というのは密接なかかわりを持っており、当然ヨーロッパを中心としたクラシック音楽は、支配的であったキリスト教とのかかわりが大きい。
しかし、モーツァルトとフリーメイソンをはじめとし、もっとオカルトな宗教に没頭した作曲家も多くいる。サティもその一人である。
彼は一時期「薔薇十字団(Rosenkreuzer)」という秘密結社と関わりを持った。
厳密に言うと薔薇十字団ではないのだが、というかそもそも薔薇十字団は存在すら怪しいものであって、そこから派生した団体の方が多かったりする。
サティがモンマルトルの文学酒場「黒猫」でピアニストをしていた頃、彼はペラダンという神秘小説家と出会う。
ペラダンは「カトリック薔薇十字聖杯神殿教団」を設立した人物であり、サティはペラダンのためにいつくか作品を書いた。その1つが1892年に作られた「薔薇十字教団のためのファンファーレ」である。
後にサティはペラダンと決別しており、大してこの団体に思い入れがあるようには思えないのだが、それでもこれはサティの代表的な神秘音楽として現代に残る名曲だ。

ファンファーレという題名だが、吹奏によるパンパカパーンという明るいものではなく、むしろ非常に神秘的で頽廃的な、静かなピアノ曲である。
教団の歌、導師の歌、大修道士の歌の3つの楽章からなる。どれも小節線がなく、サティの開発した新しいスタイルが見て取れる。
多少順序などは変わるが、大体は移り変わる和音群とユニゾンの旋律が提示された後、和音と旋律が重なる、という構成の曲になっている。
美しい、というよりも「鬱くしい」とでも言いたくなるような、気だるい雰囲気だが、こういう曲は聴く者の精神状態によって取り様が大いに変化するタイプのものだ。
聴く者の精神状態を変化させるような曲も多いが、むしろこれは多少「鬱」な気分のときに聴くと、どんどん深みに嵌っていって、まあその人にとって良いかどうかはともかく、音楽としての魅力が最もはっきりと現れるように思う。
いかにしてこの曲は人の精神に入り込んでいくのか。そこにこの曲の神秘性があるのだ。
ダン・ブラウンの小説が好きな人なら喜ぶのだろうが、この曲もまた宗教的な謎が隠されている音楽と言っても良いだろう。
魅惑する神秘性は何なのか、和声と比率をヒントに謎解きを進めていくのも面白いかもしれない。もちろん、ただぼーっと聞いていても、「不思議ちゃん」なサティの音楽を楽しむことはできる。
ただそうやってぼーっと繰り返し聴くのも、この曲の奥深さを知るにはいいのかもしれない。
聴けば聴くほど深奥に入り込み、無限の混沌へと誘うこの作品は、薔薇十字団の教義に霊感を受けたサティの、神聖でかつ計算されたコードとプロポーションが鍵だ。

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| サティ | 20:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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サティ 3つのジムノペディ:静中の動

サティ:きみがほしいサティ:きみがほしい
(1996/10/21)
アントルモン(フィリップ)

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サティ 3つのジムノペディ

サティの作品の中で知名度が高く、様々な形式で編曲されて用いられる曲というと、この曲とジュ・トゥ・ヴである。
ジャズやボサノバ、軽めのテクノといったカフェミュージック好きの僕にとっては、サティの作品は至高の音楽。
音楽界の異端児であり、技法・旋法で多くの後の作曲家に影響を与えた。
彼の音楽、特にピアノ小品は、まさに「家具の音楽」で、今までのクラシック音楽とはちょっと趣を殊にする。
ジムノペディとは古代ギリシアの「ギュムノパイディア(γυμνοπαιδια)」に由来する。
ギュムノパイディアとは、アポローンやバッカスの神々を讃え、酒を酌み交わし、裸の青年達が踊り、運動場で騒ぐ祭典である。
サティは、その様子が描かれた壺(似たようなのが今はルーブル美術館にある…はず。)を見て、曲想を受けたのだ。

サティが何を思ったかまでは図りかねるが、このようなドンチャン騒ぎの祭の名を冠した曲がなぜこんなに静かなのか、考えてみるのも面白い。
古代の祭典が描かれた壺、「動」を抱えてたたずむ「静」の不可思議な物体。
裸のアポローンやゼウスが、(今にしては少し滑稽な)運動の格好で固まっている。
動きだそうとしても、なかなか動き出せないこの3拍子の緩やかな曲は、第1番 ゆっくりと痛ましげに、第2番 ゆっくりと悲しげに、第3番 ゆっくりと厳かに、と付されている。
彼には、裸の青年(あるいは神々)達は痛ましげに、悲しげに、厳かに映ったのかも知れない。

奥が深い作品であると同時に、どこまでも軽い、空気のような作品でもある。
もしかすると、僕たちが「ジムノペディ」について思いめぐらせば思いめぐらすほどに、サティは鼻で笑うのかもしれない。

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| サティ | 19:27 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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