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珠玉の名曲たち、クラシック音楽を楽しむブログ。クラシック音楽の楽曲をテーマに、短いエッセーを書いています。

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グラス 弦楽四重奏曲第3番「MISHIMA」:ポスト・ミニマルの演奏意義

グラス:弦楽四重奏曲 第1番-第4番グラス:弦楽四重奏曲 第1番-第4番
(2010/08/18)
カードゥッチ弦楽四重奏団

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グラス 弦楽四重奏曲第3番「MISHIMA」

フィリップ・グラスというと、ミニマルの代表的な作曲家のひとりだが、ここでミニマルを取り上げるというのは実は非常に珍しいことで、何を隠そう僕はミニマルというジャンルがあまり好きではない。偶然性の音楽も。ケージの記事を書いたが、そこでも批判的に書いたつもりだ。
聴くのはまだしも、演奏するのはもっと嫌だし、じゃあ演奏しないで聴けばいいのだが、さも堂々と芸術をしているような顔で演奏する人たちに対しても、嫌悪とまでは言わないが、一体この人たちは何をやっているんだろう? と思うのだ。
なぜこうした演奏を好まないかというと、音響効果を狙ったものであれば、機械がやればいいのであり、機械がやるような演奏はもはや、百歩譲ってゲイジュツだとしても、少なくとも僕の大好きなモーツァルトやベートーヴェンと肩を並べて欲しくはない。
ということで、ミニマル御三家のひとりだろうが何だろうが、ここではそういう「音楽する意味のない」ものではなく、演奏して、聴いて、大いに意味ありのものを取り上げたい。だいたいミニマルの人にも、こういう曲はあるものだ。ピカソだって最初からトンデモ世界な絵を書いていたのではないのだ。
ケージの3分44秒についても同じで、このブログでは冗談として記事を書いたのであり、本当ならばもっと他の曲を取り上げることもできたのである。
グラスはジュリアード音楽院で学んだ後、ミニマル的な反復と強いビートを特徴とした音楽を手がけた。ラヴィ・シャンカールとの出会いも手伝い、自己の音楽の方向性を固めていったが、徐々に複雑化しミニマルとは言えないものになっていった。
彼の中でミニマルが終わったとされるのが1974年。この弦楽四重奏曲第3番は、最もミニマルらしい時期からは少し遅れた1985年の作品。もともとは映画「MISHIMA」のための音楽で、それを弦楽四重奏曲としてまとめたものだ。
映画音楽といって侮ってはいけない。この曲はぜひとも演奏されるべきであるし、人間の、特に日本人の、心からの音楽理解が求められる作品である。

映画の方は、三島由紀夫が自決した日の行動を、「金閣寺」、「鏡子の家」、「奔馬」の3つの小説の場面とともに描くもので、三島の世界観や人間像が上手く表現されているものだそうだ。フランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスが製作総指揮というやたら豪華なもので、残念ながら日本では公開されていない。
グラスは音楽を担当し、弦楽四重奏の持つ内省的な特徴を上手く用いて、三島の回想に文学性と高いクオリティを与えている。サミュエル・ベケットの“Country”の付随音楽としての弦楽四重奏第2番で、すでに同様の手法は試されていた。
15分ほどの長さで、5つの部分からなる。1.1957: Award Montage 2.November 25: Ichigaya 3.Grandmother and Kimitake 4.1962: Body Building 5.Blood Oath 6.Mishima; Closingとそれぞれ題されており、もとは映像もある分、意義深いものだ。
すべての楽章が十分に和声的で、不快になるような音はないが、感情の起伏であったり、鬱屈とした様や、ある種の決意、悲壮感など、決して快い気分になる音楽ではない。
そうした全てに意味があり、それは連続し、また瞬間に異なり、反復することで漸増したり、形を変えるものである。グラスの特徴的なアクセントが生み出す前進感覚、楽章ごとに、それは大げさになったり、抑制されたり、またはアグレッシブだったり、不規則なリズムになったり……
こうした要素ひとつひとつに意味があり、人間が何か意思を込めて演奏する価値がある作品である。そして、その主題は三島由紀夫。この曲では、11月25日、市ヶ谷、祖母と公威、とあり、十分に表現を極められるだけの深さがある。
特に日本人にとっては、音楽史的に、また文学史的に、非常に重要な音楽と位置づけても良いだろう。ぜひご一聴願いたい。くだらない現代音楽ではない。これは伝統あるクラシック音楽の系譜にあると断言しよう。

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